「よきサマリア人」の「よ」のはんぶん

みなさんこんにちは。主の平安がありますように。

クリスマスもほど近く、お店で流れているクリスマスソングがサンタさん関連だとふんふん～って聞き流すけど聖歌だとこっそり歌詞をフルコーラスで口ずさんでしまうMegです。

今日は朝、通勤のために駅に近づいたところでたいへんなことがありました。

おおぜいの通勤客たちが、桜並木の歩道をいそいそと進んでいる中、ドサッという重たい音がしたのです。

おもわず振り返ると、おじさんが転倒してうずくまっていました。少し顔を上げると、たいへん！顔からたくさん血が出ています。

近くにいたわかい女性が、「だいじょうぶですか」とかけよります。わたしも迷いましたが、「だいじょうぶですか、たちくらみですか」とかけよりました。

というのも、めまいやたちくらみだったら脳の病気などの可能性もある、と思ったので救急車を呼んだ方がいいだろうな、そうなったら救急車の到着まで待とう、瞬時にそんなことを考えました。

おじさんは段差につまずいて転んだそうでしたが、出血が多いです。

女性にわたしは訊きました。おさえるもの、なにかありますか…？

彼女はティッシュなどを出してくれて、おじさんには「しっかり押さえてください」といってしばらく様子を見守りました。

ドサっという音がしてうずくまっているおじさんを見て、私の心の中にわきあがってきた最初の気持ちを恥じます。

いま、声をかけたらわたしは仕事に遅れてしまう。

でもわたしはクリスチャンだ。よきサマリア人の話を知っている。いま、声をかけなかったら後悔する。

自分についてのことしか考えていないのです。

また、道をそれてそのおじさんにかかわっていったものの、祭司やレビ人のように道の向こう側をとおる気持ちも現代版で体験します。

血が出ているから、感染症のことなんかも考えると、わたしがおじさんに触るわけにはいかない。

仕事もある。遅れたくないな。など。

余談ですが、実はその場所は、（クリスチャンがいうのもおかしいけど、）「鬼門」なのかもしれなくて、わたしのことし亡くなった父が転んでやはり顔から大量出血したことのある場所です。

わたしは生前の父に対して、情けないよっぱらい、模範的でない親、いっしょに歩くのは恥ずかしいヨタヨタしたおじさんだ、みたいな態度をとっていた部分もあったので、亡くなってお葬式のお祈りをしながら、もっと良くしてあげればよかったなと思っていました。そんなことも、瞬時に頭をよぎります。

キリスト教の慈善の教えの根底には、目の前にいる人をその人としてだけではなく、もっといろんな存在を重ね合わせて見るみたいなところがある気がします。

有名なところでは、マザー・テレサが死にゆく人、病気の人達に対してイエスのからだにふれるのだと信じて、手当てをしたことでしょう。

わたしはそのとき、父のことを思い出していました。

父が転んで顔から血が出たとき、肉親の血だけれどもやっぱり触れなかった。

よきサマリア人は、見知らぬ人の血や土ぼこりによごれて、自分の油とぶどう酒とお金をさしだして、時間もさしだして、お宿におくってあげたんだ。

でもわたしは父の怪我の時は、コンビニでハンカチやティッシュを買っただけ。その血には触れなかった。

おじさんの出血は落ち着いたようで、もうだいじょうぶですとおっしゃるので別れました。

結局、したことは少しよかったのかもしれない。よきサマリア人は傷ついた人に自らかかわっていきます。道をそれて、時間をかけて、おじさんの止血を見守ったから「よ」のはんぶんだけかな。神さま、これだけでごめんなさい。わたしのわずかなよいところを受け取ってください。悪いところ、足りないところをなおしてください。

「よきサマリア人のたとえ」を引き出したイエスへの質問者は、どこまでが自分の隣人ですか？誰までわたしはいいことをしてあげればいいですか？と訊いているような感じがします。

でも、イエス様のこたえは違う。隣人に「なる」のですよね。

自分の方から、ひとにかかわっていく。その人の痛さ、悲しさ、寂しさを一緒におなかでうけとめる。

隣人はそのときと場所で無限にたちあらわれてくる。

いま、隣人になるようにと招かれているしんどい思いをしている知人たちを思い起こしながら、

神さまがわたしとその人を出会うようにさせてくださったのは、どんなことのためでしょう、と祈りの中でお聞きしています。

その人たちの苦しい思い、悲しみ、望みのなさが伝わって来て、お祈りしているねと言って本当に時間をとって心を込めてお祈りするけれど、無力感もあります。

わたしはそのしんどい祈りの体験の中で、本当にその人たちに良くしてくださるのは、わたしの祈りの念力でも徳でもなく、神さまの愛なのだと気づかされます。

きょうのおじさんもそうだけど、どうなったかな、という心配をします。

でも、にんげんの心配はにんげんの心の中を出ることができないけど、祈りは遠くまで飛んでいきます。

だから、こう祈ります。

主よ、

わたしのこころを去らないすべてのことを、

いま、あなたの善き計らいにすべて任せます。

あなたはかならず良くしてくださるから、わたしは信じて委ねます。

アーメン